ワイヤーウォール
緑化補強土壁工法
概要
ワイヤーウォールは、壁面材と補強材が一体になったワイヤーマットを使用する緑化補強土壁工法です。垂直から5分勾配までの急勾配盛土を構築することができ、限られた用地を有効に利用することができます。
1988年にアメリカから技術導入して以降、道路工事、造成工事、豪雨や地震の災害復旧工事などにご利用いただき、累計で180万壁m2を超える施工実績を積み上げてきました。安全で快適な暮らしを支える技術として、これからもインフラ整備に貢献します。
構造
ワイヤーマットの鉛直部は壁面材、水平部は補強材の役割があります。壁面材に作用する土圧力に対して、盛土中に敷設した補強材の引抜き抵抗力で安定性を保ち、急勾配でも安定した盛土を構築することができます。
ワイヤーマットは格子状の溶接金網であり、縦方向鉄筋が摩擦抵抗力、横方向鉄筋が支圧抵抗力を発揮するところに特色があります。また、壁面材と補強材が一体化されているため、構造上の弱点となる連結部がありません。
特徴
- ワイヤーウォールの適用範囲は垂直から5分勾配までと広く、多種多様な現場条件に合わせて施工することができます。
- 現場でワイヤーマットやバックマットを切断加工、曲げ加工することができます。構造物に接するような複雑な計画であっても、容易に施工することができます。
- 壁面材と補強材が一体となったL型のワイヤーマットを使用します。壁面材と補強材の連結作業を省略することができます。
- 盛土材の圧縮沈下に追随できるスライダブル構造を採用しています。
- めっき処理した部材を使用するため、耐久性に優れています。盛土材に岩石質材料を使用する場合でも、補強材が損傷する恐れがありません。
- 壁面全面を緑化することができます。周辺環境に順応するとともに、二酸化炭素を吸収する効果があります。
- 供用期間が短い場合は、めっきなしの部材を使用します。建設コストを大幅に削減し、撤去後はスクラップとしてリサイクルすることができます。
用途
- 国道、県道、林道、農道をはじめとする道路
- 公園、再生エネルギー施設などの土地造成
- 工事用の仮設構造物
施工事例
ワイヤーウォール60で道路を復旧した施工事例
平成23年3月に発生した長野県北部地震は、長野県北部と新潟県中越地方に跨る地域で発生した地震で、最大震度6強を記録しました。
地震によって崩壊した斜面をワイヤーウォール60で復旧した事例です。基礎地盤の支持力が不足していたため、置換砕石を施工しました。
工法 | ワイヤーウォール60 |
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壁面勾配 | 3分 |
最大壁高 | 10.3m |
壁面積 | 718㎡ |
備考 | 平成23年 長野県北部地震 |